2021年4月

2020年12月時点で、一般NISA 1,221万口座、つみたてNISA 303万口座と順調に増え、当社も推進している、つみたてNISAは1年で1.6倍となっています。(金融庁公表)

NISAとは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益(配当金・分配金や譲渡益)が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。

非課税制度ですから、いくつかの要件を満たす必要があります。

 

先ずは、NISA制度の一覧表をご覧ください。

  一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA
非課税投資枠/年 120万円/年 40万円/年 80万円/年
非課税投資総額 600万円 800万円 400万円
非課税期間 最長5年 最長20年 最長5年
投資可能期間 ~2023年 ~2037年 ~2023年

 

  • 一般NISA

毎年120万円分の株式や投資信託などの金融商品を購入可能で、購入した金融商品を保有している間に得た配当金や売却益は、購入時から5年間非課税となり、非課税で保有できる投資総額は600万円です。

 

毎年120万円分までは購入可能ですが、例えば今年100万円分のみ購入して20万円分の投資枠が余っても繰り越しはできません。

また特定口座などの課税口座で購入した金融商品をNISA口座へ移すことは出来ず、NISA口座の損失と特定口座の利益を損益通算できません。

 

5年間の非課税期間の終了時には、翌年の非課税投資枠(ロールオーバー)に保有資産を移すことが出来ますが、NISA口座を開設している金融機関での手続きが必要です。

この手続きを忘れると、NISA口座から特定口座などの課税口座に自動的に移り配当や売却益が課税されますので、保有株が値上がりしている場合には売却することも一案です。

また値下がりしている場合には、そのまま課税口座で保有することもできますが、注意したいのが課税口座に移した時点の市場価格が新たな取得価格になることです。

NISA口座で100万円で購入した保有株が70万円に値下がりしていれば、70万円が取得価格になります。

保有株が90万円になった時点で売却すると実際には損失を被っているにも係らず20万円が課税対象となります。

一方、特定口座などの課税口座で売却益がある場合には、保有株の損失は損益通算の対象となります。

 

現行のNISAは制度開始が2014年のため投資可能期間は2023年までとなっていますが、2024年に新NISAへ改正されます。

新NISAは、積立投資をする1階部分と現行NISAとほぼ同じ2階部分の2階建てに分かれますが、投資は1階部分から使うことを原則とします。

1階部分の投資枠は20万円/年、2階部分の投資枠は102万円/年ですが、現行NISAからロールオーバーする場合には、最初に2階部分の102万円を埋めてから次に1階部分の20万円を埋めることになります。

この他、投資枠が余っている場合の対応などは、2023年にご紹介致します。

 

  • つみたてNISA

長期の資産形成を目指すのであれば、つみたてNISAを活用してください。

つみたてNISAでは、金融庁が長期投資に適していると判断した投資信託・ETFに限定されており、株式や公社債は対象外となります。

「ETF=Exchange Traded Funds」=上場投資信託とは、特定の指数、例えば日経平均株価や債券、通貨の指数等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託ですから、株式のようにリアルタイムで売買することができます。

 

当社の所属証券会社であるSBI証券、エース証券にもつみたてNISA用に多様な投資信託・ETFが用意されていますが、原則として購入時手数料が無料で、長期保有に適した信託報酬の低いものが用意されています。

では、これらの商品を運用した場合に、どのような成果が得られるでしょうか?

こちらの図は、金融庁のホームページに掲載されている「つみたてNISA早わかりガイドブック」から転用しています。

ガイドブック全体をご覧になりたい方は   出典:金融庁ウェブサイト

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html

こちらをクリックして下さい。

 つみたてNISAは、継続購入による購入単価の引下げ効果と長期運用による複利効果が期待できます。

購入単価の引下げ効果とは、相場の上げ下げに一喜一憂することなく、毎月継続的に購入することで、下げ局面では多くの商品を買うことができるため、平均購入単価が低下することを言います。

複利効果とは、運用で得た収益を再投資することで「得た利益で新たな利益を得る」というものです。

短期間では値下がりした損失の方が大きい場合もありますが、継続積立なので値下がりにより沢山の商品を購入できますし、10年以上の長期間となれば、複利効果によるまとまった利益を得ることを期待できます。

金融商品の価格が変動しないということはありませんが、仮に価格一定で平均年率2%で運用できた場合、毎月1万円を20年間積み立てると元金240万円に対して、運用結果は約330万円となります。

 

思ったように成果が出ない場合には、商品を変更することも一案です。

取り扱い金融機関にもよりますが、一般的に商品変更は簡単ですし、過去に積み立ててきた投資信託は購入した年から20年間保有し続けられます。

また収入減少により、積み立てを継続することが難しくなった場合には「休止」することもできます。

 

その他、つみたてNISAは、いつでも解約可能ですから、どうしても資金が必要な時には解約することも一案ですが、全てを解約するのではなく必要資金分だけの部分解約もできます。

つみたてNISA口座全体で2018年に買い付けされた金額931億円の内、翌年に売却された額は158億円と約17%となっていますが、つみたてNISAそのものを解約する場合には、金融機関に「非課税口座廃止届出書」と本人確認書類などを提出する必要があります。

そして再度、つみたてNISAを開始する場合には、解約した翌年度になりますし、これまでの金融機関ではなく新たな金融機関で開始する場合には、口座を所有していた金融機関に対して「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を発行してもらい、新たな金融機関に対して「非課税口座開設届出書」と合わせて本人確認書類およびマイナンバーを確認できる個人番号記載書類などを提出する必要があります。

 

最後に、人生100年時代には定年退職者こそ、つみたてNISAをお勧めしています。

つみたてNISAは退職金の運用に適しています。

少なくとも10年間は、運用成績に一喜一憂することなく継続して、その後は、運用状況を月に1回で良いですから確認して下さい。

平均購入単価よりも時価が低い場合には損失を被りますから、運用成績の状況を確認するのは大事です。

 

筆者も定年退職後に、つみたてNISAを開始して2021年4月時点では投資利回り30%超となっていますが、75歳頃を満期と考えているので一喜一憂することなく継続しています。

 

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