2023年2月

65歳以上は約2割が一人暮らしです。(令和2年・国勢調査)

男性:約231万人、女性:約441万人

そして、結婚したくない男性が急増しており、今後益々お一人様が増えます。

結婚したくないのは結婚に対してメリットよりもデメリットを感じるからで、代表的な理由は、自分の時間がなくなることです。

結婚すると奥さんや子供と過ごす時間が増え、1人で過ごす時間は減ってしまいます。もし結婚後に1人で過ごす時間を優先していると、家族から反感を買われてしまう。

独身なら1人で自由に過ごし、結婚に伴う配偶者への気配りや、義両親・兄弟との付き合いなど面倒なことからもありません。

この理由は、働いて稼いでいる女性も同じです。

 

更に、男女の平均年齢を考えれば、結婚していても配偶者との死別で、お一人様になりますし、子供に迷惑をかけたくないと考える方、若しくは子供がいなければ生前・死後事務委任などの手配は必要になりますから、今回は、お一人様の老後で主に住居について記載します。

 

お一人様が老後に向けて考えておくべき必要事項は次の5点になります。

  • 老後の住まい
  • 自分で生活・資産管理が出来なくなった場合の準備
  • 介護が必要になった場合
  • 死後の葬儀・お墓・遺品整理など
  • 何歳まで働くのか(働けれるのか)、働き方をどうするのか

1.老後の住まい

    • シニア向け分譲マンション

シニア世代が住みやすいようにバリアフリー化され、暮らしをサポートするサービスの提供を受けることのできる分譲マンションです。

具体的には、段差を少なくしたバリアフリー構造、車椅子でも利用しやすい引き戸など、シニア世代に優しい環境が整っています。

物件によって違いはありますが、食事の提供や家事代行、カラオケやフィットネスを楽しめるアクティビティルームなどのサービスや設備が付いていることが多いのも特長です。

老人ホームよりも自由度が高い暮らしを楽しめ、購入後は自分の資産になりますから、す。万が一のときには売却や賃貸も可能です。

但し、シニア向けの設備やサービスが付いているために、一般的なマンションと比較して価格は高くなることが多いです。

そして、介護サービスの提供が義務付けられているわけではありません。このため、将来、介護が必要になった場合には、住みにくくなる恐れがあります。

  • シニア向け賃貸住宅

特徴は①と同じですが、賃貸なので、ローンを組んだり建物の維持・管理をしたりする負担はありません。

但し、家賃負担があり、介護が必要になった場合には、住みにくくなる恐れがあります。

  • サービス付きの賃貸住宅である「サービス付き高齢者向け住宅」

入居時に支払う敷金は家賃の2~3ヶ月分で、多くは数十万円程度で入居できます

バリアフリー化された建物でサービスを受けられる賃貸住宅で、個室の広さや廊下の幅など構造に規定が設けられており、見守りサービス・生活相談サービスの提供が義務付けられています。

但し、サービス付きなので、一般的な賃貸住宅より家賃は高くなることが多いです。また、介護サービスは義務付けられていないので、要介護度が上がると住みかえの可能性が出てくる住宅もあり、入居条件を吟味して下さい。

  • 有料老人ホーム

有料老人ホームとは、「食事」「介護」「生活支援」「健康管理」から、いずれか1つ以上のサービスが受けられる施設で民間事業者が多く参入しています。

大きな特徴は、介護度に応じて「健康型」「住宅型」「介護付き」の3種類に分かれており、介護サービスの提供方法が異なる点です。健康型は介護が必要になると退去が必要になるので割愛します。

「住宅型」:外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。

「介護付き」:施設内に常駐する介護スタッフから介護サービスが受けられます。

提供されるサービスや設備、利用料金などは、運営事業者ごとによって大きく異なるため、自分の心身の状態や希望するライフスタイルにより、複数の施設を視察して比較検討して下さい。

  • 一般的には前述の4つとなりますが、もう一つの選択肢としてUR賃貸住宅(独立行政法人都市再生機構)があります。

働いている時には、通勤に便利な所を選ぶ必要があるため家賃が高くなりがちですが、老後になれば、駅から遠くても家賃が安く生活に便利な場所を選ぶことが出来ます。

URは礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要ですし、単身者での申込可能、家賃が62,500円未満の場合の入居条件は家賃額の4倍の基準月収額(家賃額5万円であれば基準月収額は20万円)があることです。

一般的には知られていませんが、URには「高齢者向け優良賃貸住宅」「高齢者向け特別設備改善住宅」もあります。

詳細はUR賃貸住宅のホームページを参照して希望する場所や間取りを確認し、実際にUR営業センター・UR賃貸ショップで相談して下さい。

 

住まいを、どうするのかはご本人との相談になりますが、自宅を保有しており持病等はあれど要介護でなければ、④有料老人ホームを複数見学し雰囲気や料金を確認しておくだけでも良いと思います。

足腰が弱って2階へ行くのが大変だなどの場合は自宅を賃貸にして⑤UR賃貸住宅「高齢者向け優良賃貸住宅」「高齢者向け特別設備改善住宅」へ住むことも考えられます。

自宅が賃貸の場合には、適当な時期に②シニア向け賃貸住宅、③サービス付き高齢者向け住宅⑤UR賃貸住宅「高齢者向け優良賃貸住宅」「高齢者向け特別設備改善住宅」のどれかへ転居して、体の状況次第で④有料老人ホームへ転居することになります。

 

賃貸であれば毎月の家賃負担を生活資金として備えますが、自宅保有(マンション・一戸建のどちらも)の場合に必ず用意しなければならないのは住居の維持費です。

マンションの場合には、管理費及び修繕積立金を支払っていますが、その修繕積立金で十分なのか、管理会社は信頼できるのかを住民で組織した管理組合で管理する必要があります。

少し古い調査結果ですが平成30年度マンション総合調査では、「計画上の修繕積立金の積立額」と「現在の修繕積立金の積立額」の差について見たとき、現在の積立額が計画の金額に比べて不足しているマンションが34.88%でした。

またマンションの管理会社の質も大事です。

当該マンションの修繕積立金の分別及び残高管理状況について、適時管理組合に報告しているのか、修繕計画は適正なのか等を確認することで大切な資産を守ることができます。

一般的にはマンションの建築会社が管理会社を運営していることが多いのですが、信頼できないようであれば早めに変更することが必要です。

一戸建ての場合には建築後10年から15年以上が経過した時点で、屋根・外壁の再塗装が必要になりますし、その後も同様です。

建坪によりますが2階建ての場合には約2百万円前後なので、毎月1万円から15,000円程度は積立てておく必要があります。

近年は気候変動で何十年に一度の大雨や積雪などの報道を聞くことも多いので、建物の維持費も増加傾向となっています。

 

余談ですが、一戸建ての場合には、悪質な業者の訪問調査に絶対に引っかからないで下さい。

そもそも屋根の状態は下から見ても絶対に分かりませんが、言葉巧みに不安心理を煽り、屋根に上らせたら業者が屋根を壊して修理が必要だと説明して高額の修繕費用を請求します。

具体的には、「近所で工事を行うため通行制限が必要になりますので、ご挨拶に来ました」等の説明でドアを開けると、どの家で工事をするのか工事日程表なども無く、「お宅の屋根を近所の屋根を修繕中に見たら危険な状態に見えたので、念のため見せてくれませんか」など。

 

自分で生活・資産管理が出来なくなった場合の準備、介護が必要になった場合、何歳まで働くのか(働けれるのか)、働き方をどうするのか等は、資産状況や健康状態など個別に違いますので、FP(ファイナンシャルプランナー)との面談で相談するのが良いでしょう。

 

2.毎年の家計調査(総務省)では、令和3年『家計調査報告 家計収支編』によると、65歳以上の単身無職世帯の月の収支は9,402円の赤字となっています。

内訳では、食費(27.4%)、交際費(11.6%)の比率が大きく、赤字を解消するには大きな支出を減らすのが良いのですが、一人暮らしだと他者とのコミュニケーションは大事であり、食費や交際費を減らすのは難しいと思います。

それではお一人様が老後を過ごすにはいくら必要なのでしょうか。

平均余命(厚生労働省・国勢調査・令和2年)では、65歳男性=19.97年、女性=24.88年となっています。

65歳以上単身無職世帯の収支が9,402円/月の赤字なので、おひとりさまの男性は約225万円、女性は約280万円が不足することになります。もちろんこれは平均金額ですので、個々の将来の年金額や生活様式、持ち家なのか賃貸なのかの住宅事情、健康事情などによって大きく異なります。あくまでもこれらは参考値として、各々が将来の生活費がどれくらいになるか、どれくらいの収入になり、どれくらい赤字になるのか計算し、必要となる老後資金を準備しましょう。老後の不足分を補うには、現役時代から老後資金の準備をしておく必要があります。その際に活用したいのが長期積み立てによる資産形成を目的とした「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」です。どちらも税制面の優遇措置がとられている国の制度ですが、「iDeCo(イデコ)」は税制面での優遇が多い一方で、原則60歳までは引き出せないのに対し、「つみたてNISA」は税制優遇でやや劣るものの、いつでも引き出せるなど、それぞれにメリット、デメリットがあります。当社が所属しているSBI証券は、イデコ・つみたてNISAのどちらも高評価になっていますから、お勧めです。

毎月の赤字を解消するには収入を増やすか、支出を減らすかになりますが、前述したように、おひとりさまが食費・交際費を減らすのは大変なため、働くことで赤字分の収入を得る方が現実的だと思います。

少子高齢化が進む中、国は企業に「希望する全員」に65歳までの雇用確保措置(定年の延長・定年制の廃止・継続雇用制度の導入)を取ることが義務付けています。また2021年4月からは、70歳までの高齢者就業確保措置を取ることも努力義務とされましたので、働いている会社は、どのような措置を取っているのか、調べておくことをお勧めいたします。もし70歳まで働くことが出来るのであれば同じ会社で長く働く方が自営業になるよりもメリットがあります。

  • 健康保険料が安くなります。

働かない場合は国民健康保険に加入する必要があります(退職後2年間は継続可能)が、一般的に保険料は割高となります。働き続ければ今の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)のまま保険料は会社と折半ですので、健康保険料が上がるのを抑えることができます。

  • 厚生年金の金額が増えます。

現時点の国民年金の支払いは原則60歳までですが、厚生年金は70歳まで加入することができます。払った分だけ厚生年金の額に反映されますし、加入中に障害を抱えた場合には障害厚生年金の対象者にもなります。

  • 同じ会社での勤務となりますから人との関係を維持することができます。趣味などを通じて社外での付き合いがあれば別ですが、退職後に新たな対人関係を構築しようとしてもなかなか難しいかと思います。しかし、仕事を続ければ、これまでの付き合いは維持できます。もちろん会社内の付き合い方は人それぞれでよいかと思いますが、少なくとも社会的孤立は避けられるのではないでしょうか。
  • お一人様になると金銭面で余裕があると思いがちですが、統計では不足している現実がありますから、老後資金の対策は必要ですし、人と関わらずに老後を一人で過ごすのは、意外と寂しいものかもしれません。できるだけ長く働くことで人とのつながりを持ち続けることは、金銭的・精神的にも余裕のある老後につながるのではないでしょうか。

その他、終活に関係することは別の月に記載します。

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