2022年9月

このコラムでは購入手数料が無料か極めて安く、非課税で運用する「つみたてNISA」を長期投資の有力な手段としてお勧めしていますが、長期投資で重要なのは、資産配分の比率であり、次に、適切な目標設定と運用管理です。

資産として一番大きな買い物は「自宅」と言われているのですが、既に約1,000万戸もの空き家がある現状でも自宅を所有する必要があるのか?

FP相談でも重要な課題ですが、自宅については保留して資産運用について記載します。

 

日本人は、現金・預金を好むと言われていますが、2021年末時点で家計の金融資産は2023兆円、内現預金が1092兆円、保険・年金等540兆円(日銀)となっています。

 

お金は、4つに分けて管理すると良いです。

  • 生活費

日々の生活に使うものですから、現金・普通預金で管理します。

  • 生活防衛費

病気や失業などの緊急事態に備えるもので約1年程度の生活資金ですから、これも現金・普通預金で管理します。

  • イベント費用

結婚、住宅購入、教育費等、まとまった資金を準備するもので、勤務先に財形貯蓄制度がある場合に限られますが、住宅購入の頭金であれば財形住宅貯蓄(利子等に対する非課税措置)、教育資金であれば学資保険などがあります。

つみたてNISAも、いつでも一部解約ができますから使用しても良いのですが、運用対象が価格変動商品(株や投資信託等)の場合、下落時に解約すると損失を被る可能性があります。

  • 老後資金(長期投資)

老後資金をどれだけ貯めるのかは人によって変わります。

  • 国民年金

年金については本年5月のコラムをご参照下さい。

  • 厚生年金

企業に勤務している場合、大多数の人が自動的に加入しています。

  • 自営業の場合には、国民年金基金や小規模企業共済へ加入して積立てます。

これらは、積立てた金額に応じて払い戻されるもので、老後資金として確実に受け取れます。

 

しかし元金が減らないと安心している現金・預金であっても、円安で日本円そのものの価値が下落すれば、エネルギーや食糧を輸入に頼っているのですから日常品や食料品が値上がりし、結果として元金が減っていることになります。

実際に本年9月から2,000品目以上の食品類が値上がりしたと報道されていますし、円安が継続している現状では今後も値上がりは続くので、これまで100円で買えたものが100円で買えなくなります。

預金金利が3%や5%と高金利であれば、預金をお勧めしますが、5年定期でも0.3%等の低金利なので、100万円を5年間預けて複利運用しても約15,000円しか増えませんし、仮に20年の複利運用でも約62,000円しか増えません。

それでも元金が減らないことを優先されるのも良いのですが、価格の変動で損失を被る可能性はあるものの株式や債券も資産配分に組み入れることが大事だと思います。

そして価格変動商品を資産に組み入れた場合には、運用状況の管理が必要となります。

景気が悪くなり株式市場が下落しているのであれば株式を購入し、景気が良くなり株価が上昇すれば売却すれば良いのですが、それが出来ないのです。

例えば、近ごろは景気が悪いとか言いますが、景気はいい状態と悪い状態をくりかえして、四つの局面に分類されます。

局面 説明 投資 消費 物価
好況 景気が良い状態 拡大 拡大 インフレ状態
後退 景気が悪くなっていく状態 縮小 縮小 デフレ傾向
不況 景気が悪い状態 縮小 縮小 デフレ状態
回復 景気が良くなっていく状態 拡大 拡大 インフレ傾向

景気が良いときは投資と消費が活発になり、景気が悪いときは投資と消費が落ちこみますが、景気循環の期間は何年かはっきりしないし、そもそも景気という言葉自体が曖昧で、景気循環の期間も曖昧です。

毎年初に著名なアナリストが年末の日経平均株価予測を公表していますが、予測値は各自バラバラであり、将来を予測するのは難しいものです。

アナリストでさえ難しい予測を我々がする必要はありません。

簡単且つ有効なのは定期定額の積み立てである、つみたてNISAです。

メリット1は、ドルコスト平均法です。

ドルコスト平均法は、ご存じの方が多いでしょうし、テレビのコマーシャルでも投資の王道として「長期、積立、分散」と紹介されていますが、「一定期間ごとに、一定金額で、同じ投資対象を買い付ける投資方法」です。

定期的に投資すると、原則的には平均購入単価を下げることができます。

もし一方的に上昇するのであれば、今すぐに買えるだけ買っておき上昇した時に売却すれば儲かります。

また一方的に下落するのであれば、下がりきった時に買うことで儲かります。

しかし多くの価格変動商品は上がったり、下がったり変動するので、いつ買うのか、いつ売るのかを見極めるのは難しいです。

だからこそ、積立投資で平均購入単価を下げておけば、儲かるチャンスを増やすことができます。

メリット2は、非課税・再投資です。

つみたてNISAは、毎月定額で投資信託を購入しますが、投資信託は半年・一年経過すると配当金がありますが、この配当金は非課税なので全額再投資されます。

購入した投信の配当金が再投資されることにより元金+利息が利息を生むことを「複利効果」と言いますが、配当金が100円出た時に100円が再投資されるのと、課税されて80円が再投資されるのでは、長期投資の場合に大きな差が出ます。

例えば、運用利回りが1%と聞いた場合に、たった1%と思われるかもしれませんが、毎月3万円を積み立てた場合に、一番最初の3万円は20年後に6,606円の運用益となりますが、課税された場合には5,183円となり、その差額は約1,400円以上にもなります。

運用利回りが仮に3%だった場合には、一番最初の3万円は20年後に24,183円の運用益となりますが、課税された場合には18,208で、その差額は5,975円に拡大します。

運用利回りが大きい場合には、このように非課税であることが大いに役立ちます。

 

資産配分を考える時に1番簡単なのは、全て預金で運用することですが、前述の通り金利が低いので仮に0.3%で20年間運用した場合、一番最初の3万円は1年複利で運用しても20年後に1,852円の運用益にしかならないので、昨今のインフレには対応できないと思われます。

つみたてNISAは長期の資産形成を目的とした制度なので、資産形成に有効であろうと金融庁が認めた投資信託が対象で、国内型、海外型、先進国、新興国など、日経平均などの指数連動型、ひふみ投信などのアクティブ運用型など約200種類から選択できます。

日本経済が成長すると予測されるのであれば、日経平均連動型も一案ですが、日本の少子高齢化が、このまま進行するのであれば海外型且つ先進国・新興国の組み合わせが有効だと思われます。

日本企業でも海外比率が高い、経営戦略が優れている等により成長を継続している会社を厳選している投資信託も選択肢となります。

 

適切な目標設定とは、いつ頃に、どの程度のお金が必要なのか、そして実際に積み立てることができるお金は幾らなのかを考えることです。

つみたてNISAは100円からでも始めることができますが、毎月100円を積み立て20年間継続しても100×12×20=24,000円の投資額では2倍に増えたとしても48,000円にしかなりません。

生活が苦しいのに貯蓄を優先するのも優先順位が違うと思われます。

 

運用管理とは、最低でも月に1回は運用損益を確認することです。

ドルコスト平均法により平均購入単価は下がりますが、時価が更に下落していたら損失が発生しますから、積立を開始して10年経過以降は利益を確保して解約することも必要です。

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