2022年4月

保険には生命保険・医療保険・自動車保険など様々な種類があり、多くの方が何らかの保険に加入しており、生命保険では約8割強(20代から60代)、任意の自動車保険(自動車共済含む)では約9割弱に達します。

結婚した時に配偶者を受取人として生命保険へ、子供が生まれた時に学資保険へ加入し、自分が死亡しても家族が生活に困らず、子供の勉強が続けられるように備えるというものでした。

そして子供が成長し、夫婦が年齢を重ねると相続対策が必要になりますが、ここでも保険を活用できます。

  • 相続発生後すぐに現金化できます。

つまり遺族の生活資金が確保できます。

  • 生命保険金は遺産分割の対象外です。

結果として、相続税の納税・遺産分割における差額調整金として使えます。

  • 例え相続を放棄していても生命保険金を受け取ることができます。

 

相続が発生すると、葬儀代等の諸費用が必要になりますが、死亡した人(被相続人)が世帯主などで預貯金は多いとしても、金融機関は死亡した事実を確認した時点で預貯金を凍結しますから原則として出金できません。(遺産分割協議が整った時点で出金可能)

今は仮払い制度があり、遺産対象の預貯金について口座毎に、単独でも仮払いを受けることができますが、当然ながら戸籍謄本や本人確認書類等を用意する必要があり、主金額の上限も決められています。

 

 

遺産相続の仮払い制度

銀行口座等から出金できる金額の上限は、以下の2つの条件のうち「金額の低い方」

  • 死亡時の預貯金残高×法定相続分×3分の1
  • 150万円

 

仮に、被相続人の銀行口座に1,000万円の残高としても、相続人の数が多ければ法定相続割合も少なくなるので、仮払い制度で出金できる金額も150万円を下回る可能性があります。

夫が死亡し妻と複数の子供が遺された場合、妻と子供らがそれぞれ仮払い制度を利用して、まとまったお金を引き出すことも可能です。

家庭裁判所の仮処分が認められれば金額上限を超えて出金することもできますが、葬儀等で急いでいる場合には、間に合わないことも想定されます。

 

被相続人の財産には借入金等の負の財産も含まれ、田舎の家などは老朽化して更地にしても売れない可能性もあり、相続を放棄するケースも多々あります。

注意して頂きたいのは、被相続人の第1順位の相続人(妻子)が相続放棄すると第2順位の相続人(両親)が、第2順位の相続人が死亡している場合は第3順位の相続人(兄弟姉妹)と順位が繰り下がります。兄弟姉妹も死亡している場合には、その子供(甥・姪)(代襲相続)が相続することになりますから、相続を放棄する場合には親族全員で放棄することが必要です。

相続を放棄した場合でも生命保険金は受け取ることができますから、残された妻子の生活費として受け取ることができます。

勿論、生命保険金にも税金はかかりますが、生命保険金は「みなし相続財産」として、法定相続人1人あたり500万円の非課税金額が控除されます。

この制度を利用するには、保険契約に注意する必要があります。

契約

形態

契約者 被保険者 受取人
被相続人 被相続人 相続人

 

被相続人が結婚しており妻と子供がおり、親も存命の場合には、妻と子供が相続人であり、親は相続人ではありませんから、受取人を親にしている場合には、非課税金額は使えませんし、妻子の生活費を賄うこともできません。

独身時代に生命保険を契約してから見直しをしておらず、受取人を親のままで変更していないケースもありますので、数年に1度は見直しをして欲しいものです。

 

相続金額が大きい場合に相続財産の大半が現金であるというケースは少なく、自社株や土地が大半ですから、先ずは納税資金が必要、相続人が複数の場合に遺産分割資金が必要になります。

相続税の申告期限は10カ月後なので、その間に納税資金を確保するには現金を借りるか財産を処分することになりますが、納税資金に見合う生命保険へ被相続人が加入にしていれば安心です。

また自社株や事業用の不動産を次期社長へ渡したい場合などで、他の相続人に対して遺産分割資金を保険金で用意していれば遺産分割協議をスムーズに行うことができます。

 

具体的に相続税が課税される人や金額については、生命保険文化センターによると

2020年に約8.8%:被相続人一人当たり課税価格1億3,619万円:相続税額

1,737万円となっています。

仮に妻と子供2人が相続人の場合に保険の非課税金額1,500万円ですから、十分に賄えます。

生命保険金の支払いは必要ですが、保険金を加えた相続税額を把握した上で生命保険金を用意することで相続財産が全て残るという使い方もあります。

また相続人以外(息子の嫁など)の親族が長年に渡り介護してくれた場合には特別寄与分が制度として認められましたが、その貢献度を金銭に換算することは難しく最終的には裁判所が決定するものの、時間を要した割には特別寄与料が少ないケースもあり、このような場合にも保険が活用できます。

その他、二次相続まで考えた対策等、生命保険の活用方法につきましては、お問合せください。

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