2020年12月
2020年の最後は老後を考えた時に「やるべきこと」「やってはいけないこと」をまとめました。
資産を形成すること。そして形成した資産を守るために、「やるべきこと」「やってはいけないこと」を一覧にすると、既に記載した内容と重複しますが、分かりやすいのでご覧ください。
やるべきこと・その1 ライフイベント表を作る(2020年8月参照)
人生のどの時期に、どの程度の費用が必要なのかを確認します。
やるべきこと・その2 収入を得る(2020年2月 貧困老人対策参照)
やるべきこと・その3 身の丈に合った生活
前述の貧困老人対策に記載しましたが、老後は収入が大幅に下がるにも係わらず、生活スタイルの見直しが出来ない人が多いのです。
収入の下落率は人それぞれであっても、下落した収入に合わせて生活スタイルを変えることができる人は少なく、高収入だった人は収入に合わせて使うので、節約に慣れている人よりも貧困になる可能性は高いです。
一番大事なのは意識を変えることですが、これが出来ません。
筆者が参考にして頂きたいのは「婦人公論。JP」から配信された
【60歳を前に夫婦で決断。「身の丈に合った」住まいへの引っ越し記】です。
60歳を目前にした時に、生活のダウンサイジングに着手した料理研究家の藤野嘉子さん。手放したもの以上に、得たものが多かったと言います。
略
でも、もっと年をとって働けなくなれば、年金収入だけになる日も来るでしょう。母が亡くなれば家族が2人になります。そうなった時は、もう少し狭くて、家賃の安いところに住み替える。そこでまた隅田川のような素敵な場所に巡り合えるかもしれない。
その時の身の丈に合った快適さ、楽しみが絶対あるはず。こんなふうに柔軟に考えられるようになり、心が強くなったことは私の財産です。
やるべきこと・その4 保険の見直し
医療保険と1,000万円以内の掛け捨ての死亡保険(保険金額は、相続人数×500万円でも良いでしょう)葬式代や相続税の支払い原資として必要ですが、その他の保険が必要なのか見直しして下さい。
やるべきこと・その5 つみたてNISA(2020年6月参照)
つみたてNISAでは、金融庁が長期投資に適していると判断した投資信託・ETFに限定されており、株式や公社債は対象外となります。
当社の所属証券会社であるSBI証券、エース証券にもつみたてNISA用に多様な投資信託・ETFが用意されていますが、原則として購入時手数料が無料で、長期保有に適した信託報酬の低いものが用意されています。
人生100年=老後が長くお金が必要なら、お金に働いて貰いましょう。
こちらのコラムではお金に関することがメインテーマなので、ここで終わりでも良いのですが、健康寿命を伸ばすことが老後破産防ぐためのポイントなのでもう少し記載します。
厚生労働省が実施する「第13回中高年者縦断調査の概況 」では、調査対象者の中で離職経験がある人に限定して仕事を辞めた理由を確認しています。
男性の回答では多い順に1.「定年のため」 2.「契約期間満了」 3.「健康がすぐれなかったから」。
女性の回答では、1.「定年のため」 2.「健康がすぐれなかったから」となっており、働くためには健康であることが重要です。
やるべきこと・その6 齢を重ねても続けられる趣味を持つ
やるべきこと・その7 仕事以外で友人を作る
女性と違い男性は、これが苦手な人が多いのです。
筆者も頑固な爺なので友人は少ないため、次の2つの方法に取り組んでいますが実際には出来ないことが多く反省の日々です。
- 月謝を払って参加する
例えばバドミントン等の運動サークルや文芸系の教室へ入っても、人並み以上に上手でなければ誰も相手してくれません。
そこで力を発揮するのが「月謝」です。
とは言いながら1万円を超える月謝はゴルフ程度で通常は数千円台が多いです。
指導者(コーチ)は自分が主催する教室(サークル)の人気が高まれば収入がアップするので色々な工夫をしてくれます。
NHKカルチャースクールや地元コミュニティ雑誌には、俳句・絵画・楽器・テニス・卓球・ダンスなど自分が好きで長続きしそうなものがあると思います。
参加する時の心構えは、「にっこり笑顔」「できるだけ集まりに参加する」「来るもの拒まず・去るもの追わず」だそうです。
- SNSに参加する
SNSでは、例えば、地元のラーメンめぐりとか、昭和ノスタルジー、盛り上げよう〇〇(地元名)、猫好きなど、同好の士を募っています。
自分が好きなものに参加して情報を得て、実際に行ってみるだけでも気分転換になりますし、何らかの集まりがあれば参加しては如何でしょうか。
やるべきこと・その8 運動する習慣を持つ
犬の散歩だけでは運動不足になります。
最低8千歩とか言いますが、背筋を伸ばし下腹部を凹ませて腕を比較的大きく振り歩幅を大きくした上での8千歩なら十分に効果がありますが、ヨタヨタ歩いていたら効果半減です。
自転車を廃棄して全て歩くのも一案です。(自転車の酒酔い運転は取締りの対象)
なるべくなら、卓球・野球・ゴルフ・テニスなどの競技で汗を流して下さい。
やってはいけないこと・その1 退職金で海外旅行やキャンピングカーの購入
働いていない場合の収入は公的年金になりますが、これだけでは不足するので貯蓄を取り崩すことになります。多くの方が誤解しているようですが、会社員がもらう退職金は、その取り崩し原資であり、人生のご褒美ではありません。
公的年金以外に会社型年金もあるし貯金も豊富という人もいますから、一概には言えませんが、使えるお金の範囲内で自分や家族にご褒美をあげるのは良いと思います。
では使えるお金は、どうやって把握するのか → 前述の「やるべきこと・その1 ライフイベント表を作る」を参照して下さい。
やってはいけないこと・その2 住宅ローンの一括返済
貯金(退職金含む)は減っても、借金が減るのだから良いだろうと思われるかもしれませんが、前述の通り、取り崩し原資が必要になるにも係わらず貯金が無くなれば、生活が成り立たず新たな借金をすることになります。
貯金と借金を両建てし、貯金を取り崩しながら節約に励み支出を減らすか、少しでも働いて収入を得るかの厳しい選択になりますが、生活を維持することが大事です。
貯金は無くても自宅に資産価値があればリバースモーゲージ、リースバックなども検討できますが、資産価値の評価は厳しいと思います。
やってはいけないこと・その3 知らないものを購入しない
預金金利が低いのも事実ですが、銀行・証券や保険会社から進められるままにリスクの高い商品を購入して損失を被る人が沢山います。
まして年利〇%保証などの文句を信用して不動産投資するなどは危険そのものです。
時間はあるはずですから、「お金の勉強」をしてから、リスク・リターンを勘案した上で投資するのは良いと思いますが、知らないものを購入するのは危険です。
やってはいけないこと・その4 有料老人ホーム等への一括支払い
自分や配偶者が痴呆症や要介護になったら心配だとか、食事を作るのが面倒だとか色々な理由はあると思います。
しかし現時点は豪華で充実したサービスを提供していても、10年、20年と続く長い老後期間を通じて安定して運営できるとは限りません。
有料老人ホームの経営者が交代したら食事は不味くなり、常住していた看護師が減った等のサービス低下事例は沢山ありますから、万が一を考慮して払える範囲内の施設を選択することは必要です。
このデータは帝国データバンクが2020年11月30日に公表した老人福祉事業者の倒産動向調査です。
2019年は96件と過去最多を更新しており、前払いで支払ったお金が返金されないケースが増えています。
要介護や痴呆症などで困った場合には、各自治体には「地域包括支援センター」「シニアサポートセンター」など名称は様々ですが、相談窓口がありますので、十分に相談し検討して下さい。
親の介護についても同様です。
親の介護費用については、原則として親の資産(年金含む)の範囲内で行うべきです。
しかし実際には親に資産が無く、子が負担するケースがありますが、親子揃って共倒れになる可能性は高くなります。
地域包括支援センターは、各市町村が設置主体となり、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」として設けられています。
自治体から委託された社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが運営しているケースもありますが、人口2~3万人の日常生活圏域毎に設けられ全国に約5,000施設あります。
専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口でもあります。
やってはいけないこと・その5 子供や孫のおねだりに答える
子供や孫は可愛いものです。
親の真情としては、子供の結婚式や新居費用の一部負担や孫の入学や留学費用でのお祝い金くらいは出したくなるものです。
これらについても、使えるお金の範囲で出す分には良いのですが、無理をしては自分達の生活が成り立たなくなる可能性があります。
これらに共通するのは、大事な資産を守ることです。
他にも色々考えられますが、これらのことを意識する。
そして実行できれば、お金については人生100年を心配せずに過ごせると思います。