2020年5月
投資のご案内2回目は、「個人が投資を成功するための秘訣」です。
一般的には、資産運用の知識や経験が少ない人ほど、安全性を重視するのですが、空前の低金利が続いており安全性を重視した場合には、必要とする資産形成は達成できないので、価格が変動して損失を被るというリスク=積立てた金額よりも受取金額が少なることがあることを理解した上で、分散投資・長期投資をしませんか?と勧めています。
先月は具体的な投資方法としてBさん、Cさんが45歳から65歳までの20年間に毎月1万円で日経平均株価を購入した場合を紹介しました。
しかしBさんは価格が変動するものに投資しているにも係わらず、株価や資産価値を見ていませんでした。Cさんは株価・資産価値を月に1回程度ですが見ていました。
その結果、Bさんは240万円の投資で3,066,580円の受取り。
Cさんは238万円の投資で4,299,479円を受取りました。
投資は「自己責任」と言いますが、そのポイントは①何に投資すれば良いのか。②どのように投資するのか。そして投資を開始した場合には、③投資したものの価格や資産価値を見る。④何時売却するのかを決める。ことです。
一般的には有名ではありませんが、資産運用の世界を代表する思想家であるバートン・マルキーとチャールズ・エリスは、
個人が投資を成功するための秘訣として、次の4点を挙げています。
① ゆっくりと、しかし確実にお金を貯める秘訣は再投資(複利)であることを知る
② 市場の値上がり、値下がりを気にかけず、一定額をこつこつと投資すること
③ 資産タイプの分散をできるだけ図ること
④ 市場全体に投資するコストの低いインデックス・ファンドを選ぶこと
まず①の再投資(複利)について、確認しましょう。
仮に年3%で複利で運用した場合ですが、1年後は100万円×1.03%で103万円となり、次の年は103万円×1.03%、次の年は前年度金額×1.03%と続きます。
最初 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | 5年後 |
1,000,000 | 1,030,000 | 1,060,900 | 1,092,727 | 1,125,509 | 1,159,274 |
6年後 | 7年後 | 8年後 | 9年後 | 10年後 | |
1,194,052 | 1,229,874 | 1,266,770 | 1,304,773 | 1,343,916 |
10年後では134万円となりますが、更にもう10年放置すると次のようになります。
10年後 | 11年後 | 12年後 | 13年後 | 14年後 | 15年後 |
1,343,916 | 1,384,234 | 1,425,761 | 1,468,534 | 1,512,590 | 1,557,967 |
16年後 | 17年後 | 18年後 | 19年後 | 20年後 | |
1,604,706 | 1,652,848 | 1,702,433 | 1,753,506 | 1,806,111 |
期間が長くなると、利息が利息を生む効果を十分に得ることができます。
次に②一定額をこつこつと投資すること=積立投資について確認します。
一例として次の価格で推移した商品を購入します。
現在 100円、翌月 90円、3月目 80円、4月目 70円、5月目 60円、6月目 50円
7月目 60円、8月目 70円、9月目 75円
最初に投資した時には100円だったものが、半年後には半値の50円となり、その後75円まで価格が戻りました。
この商品を毎月1万円で購入しますと、現在は100個買えます。翌月は1万円÷90=111個買えて、残金10円となります。
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 |
価格 | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 60 | 70 | 75 | |
購入数 | 100 | 111 | 125 | 142 | 166 | 200 | 166 | 142 | 133 | 1,285 |
投資したお金は9カ月で89,765円です。
合計で1,285を購入していますので、これを75円で売却=96,375円となります。
売却代金96,375円-投資総額89,765円=6,610円の利益です。
どうして100円だったものが50円になり、その後75円に戻ったら利益がでるのか?
なんとなく騙されているような?と思うかもしれませんが、これは「ドルコスト平均法」という有名な投資手法です。
価格が安い時に買って、高くなれば売る。というのは簡単ですが、日々価格が上下するなかで、買い時や売り時を見つけるのは大変に難しいです。
それを毎月決まった額で同じ銘柄を買い付けていき、価格変動リスクを抑える投資方法が「ドルコスト平均法」であり、価格が高いときには少なく、価格が安いときは多く買い付けるため、結果として平均購入単価を下げるため、75円で売却すると利益が出るのです。
因みに、似ていますが、毎月、同じ数を買い付けた場合には、違う結果となります。
期間 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 合計 |
価格 | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 60 | 70 | 75 | |
購入数 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 900 |
投資金額 | 10,000 | 9,000 | 8,000 | 7,000 | 6,000 | 5,000 | 6,000 | 7,000 | 7,500 | 65,500 |
合計で900個購入していますので、これを75円で売却=67,500-65,500円=2,000円の利益となります。
この方法でも価格が高い時には投資金額が増え、価格が安い時には投資金額が少なくなり、平均購入単価を下げるため、利益を出す可能性が高くなります。
しかしドルコスト平均法の方が平均購入単価をより下げるため、一般的には積立投資では、ドルコスト平均法を紹介しています。
その次の、
③ 資産タイプの分散をできるだけ図ること
④ 市場全体に投資するコストの低いインデックス・ファンドを選ぶこと
については、具体的に説明することはできませんが、③については、投資対象を多様化させることで、資産運用に伴う価格変動リスクを低減させることにより、好リターンをめざす方法として使われています。
すべての資金をひとつの金融資産に集中させると、運用がうまくいかなかった場合にはマイナス影響が資産全体に及びますが、値動きの異なる複数の資産に分散させれば、リスクを分散しながら、安定的な収益を期待することができるというものです。
分散の方法として、❶国や地域(の分散)、❷株式や債券などの商品(の分散)、❸円やドルなどの通貨(の分散)、❹積立などの時間(の分散)の4つの考え方があり、❹については既に説明しました。
また④市場全体に投資するコストの低いイデックス・ファンドを選ぶとありますが、そもそもイデックス・ファンドとは、ファンドの基準価額がある指標(インデックス)と同じ値動きを目指す運用をする投資信託のことです。
先述の「日経平均株価」を指標とする投資信託も沢山あり、日本経済新聞社が選定し算出する株価指標に採用されている銘柄群と全く同様の銘柄構成で、且つ、各企業の株式のファンドへの組み入れ比率も株価指数への影響度に比例した割合としています。
資産タイプ毎に色々な指標(インデックス)があります。
例えば、日本株でも東京証券取引所第一部上場株式を主要投資対象として、日本株式市場全体の動きをとらえ、TOPIX(東証株価指数)の動きに連動する「インデックスファンドTOPIX(日本株式)」。
先進国株式に投資したい場合には、「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」、日本債券に投資したい場合には「野村円債投資インデックス・ファンド」などです。
今回は、理屈が多くなりました。
申し訳ありません。
次回は、具体的な投資についてご案内します。