2022年12月
令和5年の干支は「癸卯」(みずのとう)です。
卯年の兎は跳ねるため、景気が上向いたり、回復すると言われていますが、どうなるのでしょうか。
新年を迎えるに当り改めて、投資について考えます。
投資では「長期」「積立」「分散」の三原則を実践することで、リスクを抑えながら、安定した運用成績が期待できることは、再三紹介していますが、では何時から始めるのが良いのでしょうか?
人生100年時代とは言いますが、80歳の方が始めて良いとは思えません。
自分は長生きするのだと自信がある方が始めるのは、その方の自由ですが、通常は60歳程度が長期投資の最終出発点だと思いますし、別の考え方では、長生きリスクを軽減するために60歳前後から長期投資を初めて70歳代後半に備えると安心なので、退職金がある場合には700万円から1,000万円を長期積立原資として証券会社へ預けると便利です。
退職金は老後資金として重要なお金ですから、金融機関等の勧めで無理に運用してはいけません。
長年働いたご褒美として多少は贅沢をしても良いかと思いますが、老後のライフプラン設計に基づいての範囲内にしなければ、気付いたら老後破綻予備軍ということもあります。
また「長期」「積立」「分散」の三原則を実践すれば儲かる可能性は高いのですが、急な出費や従前から予定している家の修繕費用などのために解約(一部解約を含む)時に時価が安ければ損失を被る可能性があるので、10年超の期間で積み立てを継続して儲かっている時に解約し現金化して備えることが必要です。
「長期」「積立」「分散」に適しているのは、つみたてNISAです。
メリット1は「非課税制度」です。
同じ商品を購入して1年後に100万円が110万円に増えたので売却した時に、非課税であれば110万円を受取りますが、課税の場合は運用益10万円で2万円(20%)が差し引かれます。
メリット2は「複利効果」です。
つみたてNISAは、毎月定額で投資信託を購入しますが、多くの投資信託は半年・一年毎に配当金がありますが、この配当金は非課税なので全額再投資されます。
購入した投信の配当金が再投資されることにより元金+利息が利息を生むことを「複利効果」と言いますが、配当金が100円出た時に100円が再投資されるのと、課税されて80円が再投資されるのでは、長期投資の場合に大きな差が出ます。
例えば、運用利回りが1%と聞いた場合に、たった1%と思われるかもしれませんが、毎月3万円を積み立てた場合に、最初の3万円は20年後に6,606円の運用益となりますが、課税された場合には5,183円となり、その差額は約1,400円以上にもなります。
運用利回りが仮に3%だった場合には、最初の3万円は20年後に24,183円の運用益となりますが、課税された場合には18,208で、その差額は5,975円に拡大します。
運用利回りが大きい場合には、このように差額が拡大しますから、「非課税」&「長期投資」のメリットを生かすには、投資する「銘柄選択」が大事です。
「銘柄選択」は自分で行います。
本年10月末時点(金融庁公表)では、指定インデックス投資信託「日経平均株価等へ連動している国内型投信及びMSCI ACWI Index(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス:米国のMSCI Inc.が算出・公表する、世界の株式を対象とした株価指数で、世界の先進国(23カ国)と新興国(24カ国)の株式の総合投資収益を各市場の時価総額比率で加重平均して指数化したもので、世界の株式の時価総額 (浮動株調整後)の約85%をカバーしています。)等へ連動している海外型投信」が185銘柄、コモンズ投信やひふみ投信が運用方針に従ってアクティブに運用しているものが24銘柄、上場株式投資信託(ETF)が7銘柄あります。
これらはコストが低く、分配金を頻繁に出さないといった金融庁の基準を満たしているので、どれを選んでもよいのですが、日本株を運用する投信、先進国株式を運用する投信、債券を重視する投信などに銘柄を分けることにより、リスクを分散し安定的に収益を得る方法なども考えられます。
しかし取扱銘柄は各金融機関で違いますから、多くの商品を取り扱っているSBI証券がお勧めです。
SBI証券はネット証券なので、パソコンが苦手だと難しいと感じられるかもしれませんが、そのような場合には、当社にお問合せ下さい。
一旦初めてしまえば、残高報告などは書面で自宅へ届きますからパソコンが苦手でも大丈夫です。
最後に大事なのは「運用状況の確認といつ解約するのか」
現時点のつみたてNISAは20年という長期の期間が設定されていますが、投資を開始してから10年経過後は、積立投資の成果である「現在価額」「評価金額」(証券会社によって表現は変わりますが、積立てたものを今解約すると幾らになるのか)を、最低でも月に1回は確認して、利益を得ている状況で解約することをお勧めします。
10年経過後と書きましたが、この10年という期間に根拠はありません。
毎月の積立額が10年経過で、まとまった金額になっていること。
複利効果や継続投資のメリットにより利益を得やすくなっていること。
から、投資の成果を回収する目度として10年としましたが、一定期間以上経過したら運用成果を確認し、成績次第で解約する決断は必要です。
お金が必要な時が運用成績の悪い時期と重なっている場合もあります。
つみたてNISAの改正案ではつみたて期間を無期限とする。つみたて金額を40万円から120万円に増額するなど、ますます資産形成に適した内容になるようですが、運用の原則は同じです。
「税金」
今年は、過去20年間で最も円安なため外貨預金を解約して大きな為替差益を得た人が多いと思われますが、年間の為替差益が20万円以上となれば「雑所得」として申告が必要になります。
為替差益が100万円の場合(他通貨から円へ交換する場合の為替手数料が必要な場合は必要経費となるので、100万円から差し引きます)、会社員であれば給与所得から社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除等を差し引いた課税所得に100万円を加えたものが課税所得金額となりますから、元々の収入が多い人の場合には税率が高くなります。
暗号資産や仮想通貨の売却益も同様に雑所得になります。
株式や投資信託等の売却益は一律20%の分離課税が適用されますし、特定口座で売買したものは自動的に計算してくれますから雑所得のような申告は不要です。
保険も契約者、被保険者、保険金受取人の組み合わせで、所得税または贈与税になります。
金融資産を保有する場合には税金を考慮することが必要です。
やってはいけないこと。
- 金融知識が無い、又は不足しているのに一括投資をすること
損失を被る可能性が高い
- マンション投資(事業規模の方は別)
ワンルームやマンションの1室のみを保有しても老後資金にならないことが多いのです。
駅が近く、住環境が良く、管理組合がしっかりしている等の好条件が重ならければ、ローンは30年なのに、建築後10年 以上経過したら借りる人がおらず売却しようにもローン残高より安値という事例は沢山あります。
12月12日に「家賃滞納での明け渡しは違法」との最高裁判例が出ました。
違法と判断された内容は、家賃保証会社フォーシーズが借主との契約で「家賃を2カ月以上滞納し、電気やガスの使用状況から部屋を使用していないとみられる場合などに部屋を明け渡したとみなす」との条項です。
その他、3カ月以上の滞納で家賃保証会社が事前通告なく賃貸借契約を解除できるとした別の条項も違法と指摘しています。
判決では、賃貸借契約を直接結んでいるのが家主と借主である点を重視。借主の権利が当事者ではない家賃保証会社の一存で制限され、法的手続きに基づかずに明け渡しと同様の状態になる点を著しく不当だとしています。
この判決の妥当性を論じる立場ではありませんが、家賃保証会社との契約があるから安心してマンション投資をしている人が多いのも事実です。
別の事例では、高齢者で家賃を払いたくても払えない人もいますが、その人が居座ってしまったら追い出すのは、ほぼ不可能で、家賃収入が無いにも係わらずローンや固定資産税等を払い続けることになります。
- 過度な運動や趣味の延長での起業、出費を伴う資格取得などについては意見が分かれますが、筆者は家族に迷惑をかけない範囲内であれば、生き生きと過ごす方が大事だと考えています。
〇〇〇士等の資格を持って稼いでいる人は経験を重ね人脈もあります。
老後に〇〇〇士などの資格を保有したとしても、新米に仕事を頼むよりは経験豊富な人に依頼するので仕事の依頼は来ないと思いますが、本人の勉強したいという気持ちが充足され、無料相談などで感謝されることが生きがいになることもありますし、地道な活動を継続することでお客様を獲得することもあります。