2021年10月
このコーナーで再三取り上げていますが、つみたてNISA・個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座数は着実に増加しています。
超低金利の銀行預金では資産形成はできず、将来受け取る年金額が現時点よりも減少する可能性も高いことから、資産形成の必要性を感じている人が増えています。
「新型コロナの影響で時間に余裕ができ、投資を考え、行動を起こす人が多かった。定額給付金の10万円を投資した人も一定数いたと考えられる」金融庁総合政策課
また東京の地下鉄では、親子向けセミナー「学校では教わらない お金の勉強」という広告があります。
小学生・中学生を対象に、経済のはなし、投資のはなしをテーマとし、自宅で安心して参加できるオンラインセミナーです。
東京地下鉄株式会社では、お金にまつわる教育を通じて、子供たちの「生きる力」を育むための様々な講座を開設していく予定とのこと。
他方つみたてNISAの年代別口座数では、60歳代が25万、70歳代でも10万超となっており、人生100年時代を反映しています。(金融庁・NISA口座の利用状況調査)
投資の王道は「長期、積立、分散」ですが、これについては2020年10月に記載していましたので、興味のある方はお問合せ下さい。
自らの投資スキルを向上させるマネーセミナーや大人のためのお金の勉強などが盛んになっていますが、ここではファイナンシャル・プランナー(FP)や独立系ファイナンシャル・アドバイザー=独立・中立的な立場から資産運用のアドバイスを行う専門家
(IFA)の活用をお勧めします。
その理由は、自らの投資スキルを向上させるには、相当な勉強が必要であり強い動機がないと継続するのが難しいことに加え、投資・資産形成にはリスクがあること。つまり資産形成するつもりなのに資産を減少する可能性があるので、中途半端な知識で投資するのは危険だからです。
具体的には、約20年前の2001年初に100万円を日本株に投資して保有を続けたとします。
投資直後にITバブル崩壊による景気後退期となり約4割も価格は下落しますが、2002年初からの長期的な景気回復に伴い価格は大きく上昇しました。
しかし2008年のリーマンショックで再度大きく下落しました。
その後、2012年12月の第2次安部政権によるアベノミクスにより価格は上昇し、2020年末時点では約162万円=1.6倍となりました。
20年という長期で見れば結果として資産形成できていますが、価格下落時にお金が必要となった場合には、売却するのですから損失が発生します。
このような事態を避けるために投資する資産を分散し且つ投資するタイミングを分散するのですが、資産の分散では株式だけでも日本株、先進国株(日本を除く)、米国株、新興国株のどれを選択するのか迷います。
投資するタイミングを分散するのは簡単で、継続して毎月積み立てれば投資タイミングを分散でき、これは前述の通り「積立」と分かりやすく表現しています。
前述の日本株の最高値=日経平均株価1989年12月29日38,915円に一括投資した場合には約30年後の今でも日経平均株価は3万円前後ですから損失のままです。
しかし1990年1月末(37,189円)に日経平均という銘柄があったと仮定して毎月末
1万円を2020年3月末(18,917円)まで約30年間積み立てた場合には、総投資金額363万円に対して約472万円の評価額になります。
(金融庁作成・税金・手数料は考慮していない)
繰り返しになりますが投資にはリスクが伴います。
しかしリスクに見合うリターンを得られるのであれば、投資する価値はあります。
投資に伴うリスクとは投資した商品の価格変動であり、例えば株式であれば
- 換金する際に値下がりしており投資金額よりも換金額が少ない=価格変動リスク
- 投資した会社が破綻した(信用リスク)
が考えられます。
近年は米国株式への投資も盛んですが、上の2つに加えて次のリスクがあります。
- 換金する際に為替レートの変動により為替差損が生じる(為替変動リスク)
- 投資した会社(本社)の所在する国の政治・経済環境により損失が生じる
(カントリーリスク)
これだけのリスクがあるにも関わらず投資する価値はあるのか?と悩むのですが、実際に5年前、10年前にフェイスブック、アマゾン等を購入して大幅な利益を得ている人がいるのも事実です。
投資する商品は多種多様にありまが、IFAは投資の専門家であり活用することで、その商品のリスクとリターンや過去実績などを比較検討することが容易になります。
FPに相談する場合には、自分のライフプランを作成し、ライフプランに基づいて投資することが投資を継続する重要なポイントになります。
先々の備えとして投資は大事ですが、同様に安全資産でいつでも引き出せる貯金、万が一の備えとしての保険が重要なのは当然ですから、現時点で想定可能な収入と収入予測、将来に自分が貰える確定拠出年金等を含む退職金や公的年金を考慮した生活費、教育費、住居費等のキャッシュフローに基づき、どれくらいの資金がいつ頃必要なのかを把握した上で、貯金、保険、投資にどれだけの資金を割り振るのかを考えます。
具体的には、投資を継続するよりも住宅ローンの返済を優先した方が良いのか?
住宅ローンを残したまま投資を継続した方が良いのか?
ライフプランに基づいたキャッシュフローを理解し、投資した商品の残高や評価を考慮した上で、投資商品の利益を確保して住宅ローンの繰り上げ返済を行うのであれば、投資は成功と言えます。