2020年10月

5月に個人が投資を成功するための秘訣の一つとして「ドルコスト平均法」を簡単に紹介しましたが、今回は、もう少し詳しく説明します。

 

ドルコスト平均法とは何か?

既にご存じの方が多いでしょうし、テレビのコマーシャルでも投資の王道として「長期、積立、分散」と紹介されていますが、「一定期間ごとに、一定金額で、同じ投資対象を買い付ける投資方法」です。

注意して頂きたいのは、投資対象です。

特定の株式や金などではなく、日経平均やTOPIX等のインデックスファンド、又は先進国株式や新興国株式インデックスなど、資産が分散されていること及びその内容が分かっていることが重要です。

具体的には、毎月同じ日に、複数のインデックスファンドを1万円ずつ3銘柄、合計3万円買い付ける、というような投資方法で「積立投資」とも言われています。

諸先輩から新入社員時に財形貯蓄や社員持ち株会に強制的に入らされたことで結婚資金が出来たとか、家を購入する際の頭金が出来たなどの話を聞いたことはありませんか。

 

私は、小さな町工場から今では上場企業となった会社の工場勤務の方が、会社が持株会を開始してから退職するまで、コツコツと給与天引きで貯めて(つまりその会社の株式を購入)、退職時に持ち分の株式を売却して現金化したら億円単位の売却代金で心底驚いたという話を聞きました。

一方、Y証券の友人は会社が破綻し失業したうえに、入社したときから積み立てていた持株会も当然に紙屑となりました。

 

このように積立投資だから安全ということはありません。

投資対象を何にするのかによっては、長年コツコツと積み立てたお金がゼロになる可能性があります。

それでも「ドルコスト平均法=積立投資」による株式への投資をお勧めします。

 

メリット1

定期的に投資すると、原則的には平均購入単価を下げることができます。

もし一方的に上昇する株価であれば、今すぐに買えるだけ買っておき上昇した時に売却すれば儲かります。

また一方的に下落する株価であれば、下がりきった時に買うことで儲かります。

しかし多くの株価は上がったり、下がったり変動するので、いつ買うのか、いつ売るのかを見極めるのは難しいです。

だからこそ、積立投資で平均購入単価を下げておけば、儲かるチャンスを増やすことができます。

 

検証

インデックスファンド A、B,Cを毎月1万円で購入した場合(小数点第3位を四捨五入)

A B C
購入時期 価格 購入数 価格 購入数 価格 購入数
1回目 10,000 1 7,000 1.43 10,000 1
2回目 9,000 1.11 7,500 1.33 11,000 0.91
3回目 8,000 1.25 7,000 1.43 12,000 0.83
4回目 7,000 1.43 6,500 1.54 11,000 0.91
5回目 6,000 1.67 6,000 1.67 10,000 1
6回目 7,000 1.43 7,500 1.33 11,000 0.91
7回目 8,000 1.25 7,000 1.43 12,000 0.83
合計購入数 9.14 10.16 6.39

7回投資していますから70,000円の投資に対して7回目の価格で換金した場合に幾らになるでしょうか?

A=8,000×9.14=73,120円

B=7,000×10.16=71,120円

C=12,000×6.39=76.680円

インデックスファンドAは開始時の価格と換金時の価格を比較した場合に20%も下落していますが、途中で大きく下げている時に購入数が増えたことにより利益が出ています。

インデックスファンドBは、開始時の価格辺りを上下しており、開始時と換金時が同じ価格でしたが利益が出ています。

インデックスファンドCは、開始時の価格よりも換金時の価格が20%も上昇しており利益が出ています。

 

とは言え、全てのケースで利益がでることはありません。

換金時の価格が購入平均単価よりも更に下落していれば損失を被ります。

しかし価格が下落している時には、沢山購入できますので、価格が上昇するまで積立を継続してください。

新型コロナの影響はありますが、世界経済は発展しており株式全体では上げ下げはあるものの、長期的には換金するチャンスはあります。

 

メリット2

投資に労力を割く必要が無い。

日々、株式や外国為替証拠金取引 (FX)、商品先物取引、差金決済取引 (CFD)、株価指数先物取引など市場流動性の高い取引において、売り買いのタイミングを計り収益を得るディトレーダーがいます。

しかし私もそうですが、仕事を持ち仕事や家庭を中心とした生活を送る場合に、投資に対して労力を割くことは難しいです。

また売り買いのタイミングを計るためには、相場がある間は相場を注視し続ける必要がありますし、それぞれの商品を十分に知るための勉強や相場動向を知るための情報を逐次収集する必要があります。

ディトレーダーは、これらの労力を惜しまず自分の投資方針を持ち、収益を得ることに心血を注ぎますが、長期間に渡って収益を上げるのは難しいようです。

一方、ドルコスト平均法は、投資する対象を例えば「日経平均インデックスファンド」とした場合、日経平均自体が

  • 日本を代表する銘柄で構成されている
  • それらの銘柄は流動性が高いため、大きな資金の受け皿となり更に資金の流入が続きやすい
  • これらの銘柄の市場流動性や財務状況等を考慮して定期的に入れ替え(上場廃止等の場合は随時)が行われる

ため、自分で銘柄を入れ替える必要はありません。

これは先進国株式・新興国株式インデックスファンドも同様で、対象となる株式は各々決まっていますが、構成銘柄は随時入れ替えが行われています。(正確には、当該銘柄の目論見書を読んで下さい)

 

メリット3

これはドルコスト平均法とは直接関係ありませんが、ドルコスト平均法を活用できる制度が本年6月に紹介しました「つみたてNISA」です。

つみたてNISAでは、購入時手数料が無料で信託報酬が低いものが沢山用意されています。

既に若い人中心につみたてNISA口座が増えているとの新聞報道がありましたが、つみたてNISAには年齢制限はありません。

繰り返しになりますが、筆者が特にお勧めするのは定年退職者です。

60歳または65歳で入手した退職金でつみたてNISAを開始して下さい。

 

なおメリットとして少ない金額からコツコツ始めることができると言う人もいますが、疑問です。

少ない金額・例えば毎月千円の場合、20年積み立てても24万円です。この運用が上手に行われ2倍に増えたとしても48万円です。

これが1万円となれば240万円の元本になり、2倍に増えれば480万円です。

最初は少なく始めたとしても、少しずつでも積立額を増やす努力をした方が成果が大きくなります。

とは言え、収入減少や急に資金が必要となり積立ができないこともあります。

この場合に積立金額を減らすことも、積立を休止することも基本的に可能です。(具体的なやり方は加入している証券会社へお問合せください)

 

このようにドルコスト平均法(積立投資)をお勧めしていますが、あくまでも投資経験が少ない方へのご案内です。

筆者も証券会社勤務が長いので、ドルコスト平均法のデメリットは理解しています。

例えば、投資したい時に自由に投資した方が収益を上げる可能性がありますから、毎月少額を積み立てるのでは機会損失が発生します。

しかしそれは投資経験が豊富な人の場合であり、取引回数が増えることによる取引コストについても「つみたてNISA」であれば購入時手数料が無料な商品が多数ありますし、同じ銘柄への集中リスクもインデックスファンドを選択していれば分散投資となります。

 

最後に必ずやるべきことを書きます。

投資を開始してから10年経過後は、積立投資の成果である「現在価額」「評価金額」(証券会社によって表現は変わりますが、積立てたものを今解約すると幾らになるのか)を月に1回で良いですから確認してください。

自分で確認し、自分で売却の指示を行ってください。

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