2020年8月

40歳超の方へのお勧め:人生100年に向けて自分・家族のライフイベント表(キャッシュフロー表)を作成してみませんか?

私見ですが、若いうちはライフイベント表を作成する価値が低いように思います。

結婚しないかもしれませんし、結婚しても子供を持つ持たないや、子供の人数は夫婦で決めることですし、持ち家と賃貸では費用に大きな差があります。

不確定要素が多過ぎて、時間を要した割には役立たない可能性があります。

先日相談した方は30代までは結婚という願望があったそうですが、40歳を超えると生涯独身が現実となり、独身であることを前提にライフイベント表を作成しました。

40歳超であれば、生涯独身なのか、結婚している場合もお子様の人数が固まり教育の方針も定まり、住居についても持ち家、親と同居などに目途が立っているはずですから、一度ライフイベント表を作成して長い将来を見据えることをお勧めします。

 

私の場合ライフイベント表は2種類作成しています。

1つは簡略に、1つは詳細に。

簡略の作成ポイントは、依頼者と家族の希望に沿ったものにすることです。

子供(若しくは妻が)が私立への進学を希望するのであれば、私立ではどれだけの費用が必要なのか確認し、お子様の結婚では資金援助をしたいと考えているのであれば援助額を入力します。

要するに、何となく考えている希望を可視化して、どれくらいの費用が何時頃必要になるのか理解することと、その結果、実際に貯蓄ができるのか考えることが大事なのです。

従いまして、生活費(住宅ローン含む)は入れないで、想定されるイベント費用のみをピックアップします。

当初は詳細なライフイベント表のみを作成していたのですが、そもそも面談は週末の午後などに限られることが多く、面談時間も2時間を超えるとお互いに苦痛となります。

時間を節約するためにライフイベント表のモデルケースを事前に渡したりしても、ご夫婦の希望が不一致であることが多く、そもそも生活費を正確に把握していないケースも多いのです。(ご自分は生活費の年間額を把握していますか?)

ライフイベント表の修正は当然ですが、パソコンを持参してご夫婦の話を聞きながら修正を重ねると無理な内容になったり、希望の大半は不可能になったりと何のための相談なのか分からなくなることも多かったため、先ずは、希望の可視化を行うことにしました。

簡略なライフイベント表の作成例は次の通りです。

記入例:ライフイベント表
自分の 年齢 家族の年齢 イベント 費用見積り
長女 長男
40 36 11 9
41 37 12 10 長女 私立中学校入学 150万円
42 38 13 11
43 39 14 12 長男 公立中学校入学 50万円
44 40 15 13 長女 私立高校入学 120万円
45 41 16 14
46 42 17 15 長男 公立高校入学 60万円
47 43 18 16 長女 私立大学入学(文系) 120万円
48 44 19 17
49 45 20 18 長男 国立大学入学 80万円
50 46 21 19
51 47 22 20 車買い替え、長女就職 250万円
52 48 23 21
53 49 24 22 長男就職
54 50 25 23
55 51 26 24
56 52 27 25 住宅外壁・屋根のみ塗り替え 60万円
57 53 28 26 長女結婚 200万円
58 54 29 27
59 55 30 28
60 56 31 29 長男結婚・役職定年(年収ダウン) 200万円
61 57 32 30
62 58 33 31
63 59 34 32
64 60 35 33
65 61 36 34 定年退職、夫婦旅行 50万円

 

このライフイベント表では、合計で1,340万円が必要となっていますが、特に、52歳までの12年間は、生活費(住宅ローン含む)以外に年当り約110万円(1,340万円)を貯める必要がありますが、一般的な収入では無理です。

自分と家族の希望を優先して借入金で賄うのか、収入の範囲内で希望を修正するのかを決めなければなりません。

あやふやなままで時間だけ経過し、イベントに伴う出費を続ければ破綻します。

自分と家族の目的を確認することが大事で、お互いに分かっているつもりなのに確認すると違うことは多いです。

 

さて自分と家族の希望が整理できましたら、次は詳細なライフイベント表を作成します。

詳細なライフイベント表の作成例は次の通りです。

本来は2050年までの表ですが、その一部を記載しています。

西暦 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029
本人 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54
配偶者 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49
子供1 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
子供2 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
ライフイベント
本人 車買換え
配偶者
子供1 大学 就職
子供2 高校 大学 就職
収入
給与収入/年金 600 600 600 600 600 600 600 600 600 600
パート収入 100 100 100 100 100 100 0 0 0 0
合計 700 700 700 700 700 700 600 600 600 600
支出
生活費 350 350 350 350 350 350 350 350 250 250
リフォーム 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
教育費 320 320 320 400 200 200 0 0 0 0
保険料 30 20 20 20 20 20 20 20 20 20
0 0 0 0 0 0 0 0 250 0
その他 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20
合計 720 710 710 790 590 590 390 390 540 290
年間収支 -20 -10 -10 -90 110 110 210 210 60 310
貯蓄残高 600 590 580 490 600 710 920 1130 1190 1500

 

より具体的な内容になりますから、何をしなければならないのか共有して漠然とした不安ではなく、どのように準備しなければならないのかを確認することができます。

補足ですが、敢えて住居について、筆者の私見を追記します。

これまでは、老後の賃貸事情を考慮すると「賃貸」よりも「持ち家」が良いと言われていましたし、超長期住宅ローンにしても10年以上前から金利3%以下(現時点は1%程度)となっており昭和世代と比較しますと「持ち家」を取得しやすくなっています。

しかし「持ち家」はあっても、高齢になると介護専用施設へ入居する可能性があること。(この場合でも「持ち家」が高く売却できるのであれば良いのですが、後述の通り土地価格の低下により高く売却できる地域は少なくなっています。)

場所によりますが、郊外の団地や地域によっては、買い物や通院に不便であること。など、住んでから数十年経過すると健康状態や住宅環境が大きく変わることがあります。

しかしながら住宅は大きな買い物ですから、一旦購入すると変化に対応できません。

人口減少が著しく空家率も年々増加している状況で、首都圏・近畿圏でも場所によっては土地価格が低下していること。建築技術・リノベーション技術の向上に伴い安価な家が増えていることなどから貯蓄を優先し、購入時期を先延ばしすることを提案してきましたが、今年の新型コロナ騒動で更に、その思いを強くしています。

再開発で賃料上昇続きだった渋谷地区でも、リモートワークの増加に伴い空室率が上昇していますが、この傾向は続くでしょう。

筆者も仕事柄、都内中央区←→都内渋谷区←→四国徳島などのリモートワークを継続していますが、どうしても訪問が必要な時以外はお互いに顔を見て資料を共有できるリモートワークで仕事は順調に遂行できます。

 

また田舎への移住や海外移住も選択肢の一つですが、これも大きなテーマなので、ここでは記述しません。

老後、介護、住居、健康などを考えたときに不安があるにも係わらず、対応しないで時間だけが過ぎていく人は多いです。

何も考えていないけど、健康だけには自信があり一生涯働くという人であれば、それはそれで良いと思いますが、年年歳歳、健康に自信が無くなり、弱り目に祟り目的なマイナス事象が発生して予定通りにはいかないことが多いです。

親の介護が必要になった。

夫婦のどちらかに健康上の問題が発生した。

失業したが再就職が難しくて失業保険の期限が来る。

パソコンを長時間見ていると目が痛くなるので、これまでの業務では再就職できなくなったなど、大きなトラブルでなくても予定通りに行かなくなるのです。

だからこそ準備や心構えが必要で、その上でマイナス事象に対応するのです。

 

最後に、このような相談を気軽にできるのは「日本FP協会」です。

ホームページを開きますと、「相談できるFPを探す」というコーナーがあり、条件を指定してCFP®資格者を探すことができます。

CFP®資格は、北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界24カ国・地域(2020年2月現在)で導入されている、「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」で、FPの頂点とも言えるものです。原則として一国一組織により資格認定が行われており、日本においては日本FP協会が認定しています。

無料で相談を受ける人も多いので、一度相談してみては如何でしょう。

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