2020年6月
今月は、投資について具体的にご案内します。
投資を成功するための秘訣は、①再投資、②積立投資、③分散投資、④市場全体に投資するコストの低いインデックス・ファンドへの投資」であることを前回説明しました。
この中で④だけが商品で、①②③は方法です。
方法がどれだけ有効であっても商品選択を間違えると投資は成功しませんから、具体的な商品を決める前に、「どのような資産に、どれだけの割合で投資をするのか=アセットアロケーション」を考えることが運用成果を上げるために重要です。
とはいえ、個人が限られたお金で投資するのですから、あれもこれも考えていたら何もできないということになりますので、具体的にお勧めしますのは「つみたてNISA」です。
先ずはNISAについてご説明します。
NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)には、一般NISAとつみたてNISAとジュニアNISAがあります。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
非課税投資枠/年 | 120万円/年 | 40万円/年 | 80万円/年 |
非課税投資総額 | 600万円 | 800万円 | 400万円 |
非課税期間 | 最長5年 | 最長20年 | 最長5年 |
投資可能期間 | ~2023年 | ~2037年 | ~2023年 |
ジュニアNISAは19歳までという年齢制限があり、一般NISAは投資経験豊富な方にお勧めの制度であり、①再投資、②積立投資、③分散投資にピッタリなのは、つみたてNISAになります。なおNISAは、併用できません。
つみたてNISAでは、金融庁が長期投資に適していると判断した投資信託・ETFに限定されており、株式や公社債は対象外となります。
当社の所属証券会社であるSBI証券、エース証券にもつみたてNISA用に多様な投資信託・ETFが用意されていますが、原則として購入時手数料が無料で、長期保有に適した信託報酬の低いものが用意されています。
「投資信託」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。
株式、債券、国内物、海外物、金やプラチナなどの商品等、様々なものが投資対象となります。
投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。投資信託の購入後に、投資信託の運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って、損をすることもあります。このように、投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべて投資家に帰属します。
つまり、投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません。
「ETF=Exchange Traded Funds」=上場投資信託とは、特定の指数、例えば日経平均株価や債券、通貨の指数等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託ですから、株式のようにリアルタイムで売買することができます。
因みに、投資信託の場合は、証券会社に売却を指示した日の基準価格で売却代金が決まり精算日は投資信託毎に相違します。
では、これらの商品を運用した場合に、どのような成果が得られるでしょうか?
こちらの図は、金融庁のホームページに掲載されている「つみたてNISA早わかりガイドブック」から転用しています。
ガイドブック全体をご覧になりたい方は 出典:金融庁ウェブサイト
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html
こちらをクリックして下さい。
具体例として次の3つの運用成果を図にしています。
A 「定期預金に投資」(安全)
B 「国内の株・債券に半分ずつ投資」(元本割れする可能性有り)
C 「国内・先進国・新興国の株・債券に1/6ずつ投資」(元本割れする可能性有り)
あくまでも過去実績であり、これからの投資成果を予測・保証するものではありませんが、空前の低金利が続いており安全性を重視した場合には、必要とする資産形成は達成できないので、価格が変動して損失を被るというリスク=積立てた金額よりも受取金額が少なることがあることを理解した上で、分散投資・長期投資をしませんか?とお勧めする根拠です。
投資金額は100円(SBI証券)からでも可能ですが、毎月100円を20年積立ても
24,000円ですから、これで投資の成果を得たとしても少な過ぎます。
ご自身が将来必要だと考えている金額から逆残して月々の積立金額を決めるのですが、長期投資の目安として10年超の期間は必要なので、確実に継続できる金額にして下さい。
つみたてNISAに限らず、余裕資金を超えて積み立てているお金は、売り時じゃない時に売らなくてはいけなくなってしまったり、積み立て始めてからの期間が短いと、せっかくのメリットを享受できないということがあります。
つみたてNISAに似ている来月ご紹介予定のiDeCoも制度として魅力はありますが、60歳まで解約不可なので、いざお金が必要な時に使えません。
仮に毎月1万円の積立で、上記図の実績を適用しますと
A=1万円×12月×15年=180万円(投資元本)×101.32%=1,823,760円
B=1万円×12月×15年=180万円(投資元本)×138.0%=2,484,000円
C=1万円×12月×15年=180万円(投資元本)×179.9%=3,238,200円
このような運用結果となります。
なお、つみたてNISA以外にも証券口座を保有されている方が、その口座からつみたてNISAへ資産を移すことはできませんし、「損益通算」することもできません。
あくまでも投資初心者の方々へ向けて情報発信していますので、つみたてNISAの制度について詳しく記載していないことをご理解下さい。
最後に、筆者が特につみたてNISAを、お勧めするのは定年退職者です。
60歳・65歳で入手した退職金から720万円を証券会社へ預け、毎月3万円の積み立てを継続して下さい。
3万円は、全て同じ商品とするのではなく、原則としてインデックスファンド(日経平均などの株価指標と同じような動きをする投資信託)とし、1万円は日本株、1万円は米国株式または先進国株式、1万円は海外債券というように分けて下さい。
日本の人口は減少していますが、コロナ騒動等の不確実性はあるものの世界全体の人口増加傾向は継続しており経済は発展します。
10年経過後(定年退職者は70歳超)は、運用成果を確認しながら、ご自身の判断で解約することで、まとまった資金を得る可能性は高いと思います。